小説家になるにはどうしたらいいの? 仕事の内容から見る適性とデビュー方法。

小説家になるには

小説家になるには、どうしたらいいか。
そう聞かれて、すぐに答えられる人は少ないかもしれません。
医者になるには資格をとる、タレントになるにはオーディションを受ける、厳密にはそれだけではありませんが、小説家になるためにそこまで明確なものはありません。
その上で小説家になるには何をすればいいか、どんな人に向いているのか、一つずつご紹介していきたいと思います。

そもそも小説家とは、小説家の定義

小説家という言葉の意味としては、そのまま小説を書く人です。
そして小説とは一般的には文章作品という認識でそこまでずれてはいないでしょう。
つまり小説家になるためには、文章作品を書いてみること、と言えます。
ですがここでの小説家とは、そういうことではありませんよね。
自分の書いた文章で人々の気持ちを動かし、感動を届けることが小説家の仕事だとすれば、例えば自作の小説が書籍となり出版されることで、 人々の目に触れる事が小説家としてデビューする、そこで初めてあなたが小説家になったのだと言えるでしょう。 人によって小説家を目指そうと思ったきっかけは様々でしょう。
「子どもの頃から本を読むのが好きだった」
「昔から読書感想文を書くとよく褒められた、賞をもらった経験がある」
「一冊の本で自分の世界観が変わった!」
そんな一つ一つのエピソードが、小説家デビューへの一歩です。

小説家になるための手段

小説家を職業として活躍する為には、まず一つの作品を書き上げ、世間にお披露目しなくてはなりません。
まずは小説が書けることを前提ですが、実際に本を出すなど世の中に作品を出すにはどうしたらいいのでしょうか。
一般的なのは出版社主催の文学賞などに投稿し、受賞をしてデビューという流れです。
受賞すれば書籍化され、全国出版も可能です。狭き門には思えますが、作品のジャンルによっては一番の近道となります。
その他では自費出版で書店に並べることも可能ですし、最近ではWEB上に公開することで注目が集まり、上手くすればデビュー、ということも可能になってきました。
以下ではそれぞれの手段を詳しくご紹介していきます。

文学賞へ投稿する

一番一般的な文学賞への応募方法ですが、これは各出版社のホームページや、本の巻末に案内が書かれていることが多いです。
最近ではネット上で一覧にしてくれているところもあります。
各賞それぞれに本のジャンルや長さが指定されているので、自分の作品に合わせて調べてみましょう。
出版社によっては選考中は他での公開に制限をかける場合があるので、同時投稿やWEB公開には気をつけてください。

自費出版を行う

自費出版には出版社と契約して行う方法と、自分で一から全て行うものがあります。
前者の場合は編集者の手も加わり、部数が増えるほど自己負担額も上がっていきます。
さらに全国の書店へ売り出すことが出来ず、その出版社と契約している書店の決まったスペースでのみ販売されます。
書店販売が可能なので、世に作品を送り出す一つの手段として確立されており、近年では電子書籍も広まってきており、費用を抑えた出版も可能となってきました。

対して自分で一から行う自費出版としては、同人誌がそれにあたります。
自身で書いた作品を印刷会社に依頼して製本し、即売会で販売して収益を得るものです。
一般的な認識では趣味の領域を出ない手段ではありますが、昨今ではサブカルチャーの拡大も顕著であり、ジャンルは偏りますが、出版社やメディア化することも夢物語ではなくなってきています。

WEB上で公開する

自費出版とも関連してきますが、最近注目されているのはWEB上での公開です。
ネット環境さえあれば自宅から気軽に全世界へ公開でき、現存する小説投稿サイトもかなりの数に上ります。
ただ、現状ではこの手段で小説家デビューするのは非常に難しいでしょう。
投稿サイト内でのイベントで有名になることや、高評価を重ねて有名になれば可能性もありますが、やはり一番手軽な手段なためにライバルの数が比ではありません。
ですが、投稿して様々な評価を受けるのは小説家を目指すならば必要なことです。
見られるものを作っていくのですから、見られることには早いうちから慣れておきましょう。

まとめ

大きく分けて3つの手段がありますが、自分に合った方法はありましたか?
どういった手段を目指すにしてもまずは作品が無ければ始まりません。
作品を書き切り、投稿を繰り返すことで、デビューへの道は拓けるでしょう。

小説家になるために必要な能力

小説家を目指すにあたって、必要となるものはありません。
何かの資格もいらなければ、試験に合格しなくても平気です。
才能やセンスにしても計れるものではないですし、性格面でもいろんな人が小説家として活躍しています。
創作物なのですから、どんな人に向いていてどんな人には向いていないのかなんて、存在しないのです。
けれどもちろん最低限、作品を書き上げる力は必要で、日本で出版するならば日本語が不自由なく使えなければいけません。
そういったことで2点、大事なことがあります。

本を読むのが好き

小説を書こうとしてる人が本を読むのが嫌い、ということはないと思いますが、やはり文章を書くにはたくさんの本を読む必要があります。
本を読んだことの無い人のほとんどが、小説を書くことなど出来ないでしょう。
なるべくジャンルや新旧に関わらず、多くの著作に触れてください。
有名な作品も必ず評価された原因があり、逆にマイナーでも面白いものは世の中に数え切れないほどあります。
自分の書く作品にはそれまでに読んだ本が濃淡はあれど確実に影響します。
たくさんの著者や本に触れている人ほど、たくさんの色が混じったオリジナルを生み出すことが出来るのです。

人の意見に流されず反発せず、受け入れて自分のものに出来る

小説家の作品は冒頭で定義したように、必ず人の目に触れるものとなります。
人の感性は十人十色、全ての人に好まれるような作品なんてこの世に一つとしてないでしょう。
そこでもし良くない評価をもらったとしてもそれに反発してはいけません。
その人にはその人なりの感性があり、たまたまそれが作品と合致しなかっただけ、意図を汲んでくれない場合でも、それは自身の表現が足りなかっただけかもしれません。
ただそういった意見を合わなかっただけと流すのではなく、一つの意見として内に留めておくことも重要です。
そして何より大事なのは人の話に左右され過ぎないことです。
意見を取り入れることは重要ですが、そればかりで出来た作品はもはや自分の創作物ではありません。
口で言うより難しいことですが、多くの評価を多くの人からもらい、どんどん色を増やして自分の色としていくのです。

目指すのに必要なこと

必要な能力に特別なことはありませんが、小説家を目指すためには努力することが不可欠です。
しかしそれはどんな職業にも当てはまることですよね。
この項では小説家を目指すにあたって、やっておくことで夢に近付けることをご紹介します。

まずは書く、書き切る

小説家になるための、大前提です。 作品が無ければお話になりません。野菜が無ければ八百屋は出来ない、当然のことです。
ただこれが意外と難しいことです。一冊の本を製本するのには大体10万文字以上、短編でも16,000文字程度ないと読み物としてのボリュームは出てきません。(もちろん一概には言えません)
皆さんも小学生の頃、読書感想文を書いたことがあるでしょうか。400字詰めで2~3枚が夏休みの課題だったかもしれません。
短編を書くのにすらその20倍程度の文章が求められます。イメージつくでしょうか。
ちなみに現在活躍中の小説家・作家さんは、10万文字以上の長編を大体3ヶ月で書き終えるペースとのことです。
少々話がずれましたが、それでも何より書き切ることが重要です。途中で辞めてばかりでは癖がついてしまいます。
まずは原稿用紙1枚、400字からでも構いません。書き始めた作品は、貴方の手で必ず完成させてあげてください。

色々な本や文章を読む

「なるために必要な能力」でも触れましたが、何より多くの本に触れることが大事です。
現物の小説に拘らなくても構いません。ネット上の小説でも、図鑑でも、新聞でも、目に付いたものは片っ端から読むくらいの気持ちで良いかもしれません。
作品に深みを持たせるためには、豊富知識や経験が大切です。
何事にも興味を持つこと、それが小説家には必須の能力なのかもしれません。

多くを経験する

読むことも経験のうちですが、色々なところへ旅行へ行ったり普段出来ない事を経験するのも、モノを生み出す側としては非常に重要なことです。
様々なものから刺激を受け、興味を持ち、吸収したものを自分色に染めて発信する。
小説家とはその発信の手段が紙とペンだった。難しいことはなくただそれだけなのです。

特殊な技術はいらない

文章を書くのにもルールや技術は存在します。
ルールの一例としては…(三点リーダ)や―(ダッシュ)は2つ続けて使うということや、「」(かぎ括弧)を綴じる時は。(句点)をつけないなどがあります。
技術としては一般的に修辞技法と呼ばれるものがあり、例えば名詞を最後に持ってくる、体言止め。
また、通常は主語→目的語→述語で語られるところを、順序を逆転させてある語を強調するのが倒置法です。
これは主に文章を読みやすくしたり緩急をつけるのに重要な役割を果たしています。

けれど、これらは作品を完成させるのに必ずしも無ければいけないものではありません。
そういった技術ばかりを調べて頭でっかちになるくらいなら、どんどん書いてどんどん人に見せましょう。
最低限のことは自ずと身についてくるものです。まずは作品を完成させてクリエイターとなってから、補強していけばいいのです。

人に読んでもらう

小説作品は人に見せなければ何も始まりません。
書き始めた頃は恥ずかしいと思うこともあるでしょう、酷評されることも珍しくはありません。
それは当たり前です。初めから完璧なものが作れる人など世界で何人いるのかという話です。
そもそも小説家・作家として有名な人たちですら、人により好みが分かれます。
なのでなるべく多くの人に見てもらい、月並みですが良いところは伸ばし悪いところは改善する、それを地道に繰り返していくのが小説家になるための一番の早道です。
また、始めのうちは身の回りの人だけでもいいですが、厳しい意見をもらうならネット公開という手段は非常に有効です。
友達よりも心無い言葉が増えるかもしれませんが、それがいっそご褒美だと割り切って、改善を重ねていきましょう。

文学賞に投稿する

賞を受賞するのは簡単ではありませんが、投稿する前から諦めてしまっては道は閉ざされたままです。
出版社によっては一人一人にコメントを返してくれるところもあり、その道のプロからの意見は何より得がたいものでしょう。
作品を書き上げることが出来るようになったら、まずは新人賞に応募するのがおすすめです。
文章のクオリティ以外の発想や構想の部分で評価してもらうことも十分にありえます。
選考側も初めから完璧な作品なんて求めていません、そのために編集者がいるのです。
なお、漫画などでは出版社への直接持ち込みも手段として描かれることがありますが、これで作品を見てもらうことはなかなか難しいようです。
コネや選考通過の経歴があれば可能性がありますが、まずは考えなくてもいいでしょう。

小説家になるための学校

なるための学校という書き方をしていますが、厳密に言えば小説家には資格が必要であったり専門職などと違い、学校へ通う必要はありません。また行けば小説家デビューできるというわけでもありません。
ですが一つの選択肢として効果的であることに間違いないでしょう。

現在、全国各地に小説家を目指せる学校が開校されています。
学校へと進路を決めた人の中には、「尊敬する小説家が、講師として指導している学校を選んだ」という意見もありました。
何に重点を置くかは人それぞれ違います。大切なのは、入学を決める前にその学校をよく知り、後悔のない進路決定をする事です。
例えば、どんな講師がどのような授業を行っているのか、授業スタイルは自分と合っているか、満足のいく設備や環境が整っているか……など、学校選びに大切な要素はたくさんあります。
まず最初のステップとして、気になった学校の資料を請求すると、選択の幅も広がるでしょう。
そこから興味のある学校には、体験授業や学校見学にもどんどん参加しましょう!
WEBサイトや資料だけでは見えない部分も分かり、悔いのない学校選びの手助けとなるはずです。

知識が増えるだけで書けるものではありませんが、独学だけで限界を感じる場合は、専門学校が大きな救いとなります。
また業界との繋がりも深く、デビューへのサポート体制も整っているため、在学デビューも夢ではありません。
そして何より同じ志を持つ仲間が増えるというのは一番の強みでしょう。
作品を見せ合い、切磋琢磨する、それほど良い刺激を受ける環境は他にありません。
小説家になりたいなぁ、と思っていてなれるほど甘い世界ではありません。まずは一歩、踏み出してみませんか?